教育戦略 education strategy 2004 8 19
日本における少子高齢化による人口減少は、
30年後、50年後のことを考えれば、深刻だと思います。
単純に考えれば、人口の減少は、
市場規模の減少を意味し、
市場規模の減少は、企業の売上高の減少を意味し、
企業の売上高の減少は、給料の減少を意味します。
このように人口減少は、縮小経済となります。
しかし、ピンチの時は、チャンスでもあります。
人口が減少して困るならば、1人当りの価値を向上させればいいのです。
1人で2人分の能力を持つ人材を育てていくべきです。
今まで、日本には、エリート教育というものがありませんでした。
たとえば、私が通っていた公立の進学校においては、
生徒に不満がありました。
その不満の内容とは、授業の進度が遅いこと、
教科書のレベルが低いことでした。
そのため、こんな現象も起きていました。
春休みに、新学年の教科書を配布しますが、
たとえば、数学の得意な生徒は、
春休み中に、新学年の教科書を全部読んでしまうのです。
私は歴史が好きでしたので、春休み中に歴史の教科書を全部読んでしまいました。
そういうわけで、新学年が始まると、
生徒は、暇になりますので、部活動に夢中になります。
放課後の部活動では、こういう状態でした。
たとえば、化学部では、化学の研究に、大学の教科書を使用していました。
休みの日には、東京へ行って、大学の教科書を買い求めていました。
私も、親から電車賃と本代をもらって、
東京の御茶ノ水に、大学の教科書を買いに行きました。
ついでに東京見物もしました。
こういう状況では、飛び級制度を考える人も多いでしょうが、
飛び級制度には、問題点があります。
確かに、頭脳は大学生レベルでしょうが、
やはり、精神面は高校生レベルです。
ですから、そういう状態で、大学に、飛び級で入学しても問題があると思います。
そこで考えられるのが、大学教育の前倒しです。
高校において、希望者には、大学教育が受けられる環境を整備すべきです。
つまり、大学教授が高校に出張し、講義をするのです。
これならば、生徒の希望を満たせますし、
精神面での問題も発生しないと思います。
人口減少は、日本経済に深刻な影響が出ます。
しかし、1人当りの価値を向上させることで、
つまり、教育によって、1人当りの能力を向上させることで、乗り切れます。
日本の長い歴史を振り返れば、
数々の国難を克服してきた歴史があるのです。